もの置き場

日々の妄想とかを雑にまとめたブログです。 初めての方はaboutページをご一読お願い致します。

一次創作

140字小説

「どうぞ」恭しくスタッフに促され、彼女のいる部屋の扉を開ける。彼女は白い衣装に包まれて、静かに目を閉じていた。思わず涙が溢れる。「綺麗だよ……」「え、君泣いてるの?」目を開けた彼女が二ヒヒと僕に笑いかける。今日は僕たちの新しい門出だ。君に永…

140字小説

午後、ひとけのない図書室でひたすら勉強している彼女の横顔をぼーっと見つめる。努力家の彼女と正反対の僕は、いつも何もかもから逃げてきた。しかし彼女は、「あなたに見つめらている時が一番安心して集中できる」と言って、孤独な僕に居場所をくれた。そ…

一次創作/未完③

前回、前々回の続きです。すごく長くなりました。 4月29日 朝は笹が興奮して大変だった。なんとか笹を宥めて学校に送ったが、そんなに嬉しそうな笹をみれて内心はとても嬉しかった。 今日の夕飯は明ちゃんも食べに来るので、大皿料理を作ることにした。昨日…

一次創作/未完②

前回の続き物となっております 4月28日 学校帰りに妹を小学校の学童へと迎えに行く。親が共働きのため、これは中学の頃から私の日課だ。高校を電車通学のところにしなくてよかった、なんて思いながら道を急ぐ。 「篠ちゃんっ! 」妹が私を見つけるなり笑顔で…

一次創作/未完

4月27日 晴れ 「昨日携帯水没させちゃってさ〜」「うわーまじで?ジップロックに米と一緒に入れてみた?」「んー、いろいろ試したけどご臨終されたよ。バイト代入るまでは原始生活だなぁ」 わはは、と笑いながら"お友達"とご飯を食べる。携帯を水没させた彼…

三題噺/140字小説

文明が崩壊して20年後。今を生きる人類たちは過去の人類たちに何を思うのか。彼らは失敗から学ばなかった故に過ちを繰り返し、最終的に自身を滅ぼしてしまった。誰も幸せになれなかった世界。彼らの仕事はその記録を残すこと。 お題:崩壊、文明、今 文明が崩…

一次創作

「死なないで」 彼女は言った。 僕の顔が、今にもベランダから飛び降りそうなくらい張り詰めた顔をしていたらしい。 自分でも気づかないうちに。もしかしたら彼女が前に居なかったら、本当に命を絶っていたかもしれない。 「死ぬときには君を悲しませないよ…

三題噺/140字小説

「どうせなにをやってもダメなんだ」心折れた、とばかりに少年は呟いた。冬の夜は冷えるが、彼は御構い無しといった様子で道路を一人歩いていく。小さなサーカス団の見習いパフォーマーである彼は、厳しいマスターの教育に嫌気がさしていた。それが愛情とは…

三題噺

5月10日、僕は、財布を忘れて、時計を忘れて、大雨に降られて、彼女に振られた。 今日はきっと、星座占いで最下位だったんだろう。普段気にもしない占いは、こういう時に役に立つ。こんなツイてない日は、明日に期待するしかない。きっと明日は今日よりいい…

140字小説

「うあっ……」ハサミ右手に鏡の前で呆然と立ち尽くす。左手には、切りすぎた前髪。少しだけ切るつもりだったのに…。眉毛の上でぱっつんと切られた前髪を抑えながら(いつまでに伸びるかな)などと考える。「まあいいかー」きっと彼は私を見て笑う。でも絶対私…

画像SS

140字小説

「……殺してくれ」誰もいないベランダで呟く。風が冷たい冬の夜。このままここにいたら朝には凍死してるかな、なんて考えながら町を見下ろす。そのとき、俺と目があったのは、ロープを首に巻きつけた、向かいのアパートに住む少女だった。彼女は俺を見つめな…

140字小説

言い方が悪い。君の言葉には、チクチクと棘が含まれすぎている。そんなことを言われた相手が、どんな気持ちになるか考えろ。もう何も喋らなくていい。不愉快だ。 「俺にだけ、話しかけてくれればいいんだ」 #140字小説 言い方が悪い。君の言葉には、チクチク…

140字小説

どうやら風邪をひいたみたいだ。昨日までは感じなかった喉の痛みに、不快感を覚える。しかし仕事に行かなくては。朝ごはんは食べる気が起きないからのど飴だけでも舐めておこうと、私はのど飴の入ったポーチを開けた。「お大事に」そこには彼の字で書かれた…

140字小説

君を愛するために、僕は何をすればいい?何をすれば、君を愛することを許される?僕はロミオなんて名前じゃない。あいつみたいな人生はまっぴらゴメンだ。死後の世界で君を愛することができても意味がない。僕は今ここで、君の隣にいたい。#140字小説 #創作 …

140字小説

喧嘩をした日の夜に、雪が降った。次の日の朝、いつものように支度をして玄関を出る。雪は止んでいたが、あたりは一面の銀世界、まっさらな白いキャンバスのよう。しかしそこにはひとつだけ足跡が残っていた。#140字小説 #物書きさんと繋がりたい 喧嘩をした…

140字小説

「あつっ」口に入れた淹れたての珈琲によって、私は舌を火傷した。(何をしているんだか)舌を冷やすために氷を一つ口に入れ、飴玉のように転がしながら、今日を思い返す。 朝ご飯、学校、お昼ご飯。 いつもと変わりない日だが、違うことが一つだけ。 「明日…

140字小説

寝る前にそっと目を閉じて、彼の骨ばった背中を想像する。 それが今の私の幸せ。今はまだ、背中しか想像できないから。 ーーいつか、背中じゃなくて、正面から向き合えますように。そう願いながら私は、深い闇に意識を預けた。 #140字小説 #創作 #物書きさん…