もの置き場

日々の妄想とかを雑にまとめたブログです。 初めての方はaboutページをご一読お願い致します。

一次創作/未完

4月27日 晴れ

 

「昨日携帯水没させちゃってさ〜」
「うわーまじで?ジップロックに米と一緒に入れてみた?」
「んー、いろいろ試したけどご臨終されたよ。バイト代入るまでは原始生活だなぁ」


わはは、と笑いながら"お友達"とご飯を食べる。携帯を水没させた彼女のことは正直どうでもいい。街で見かけたら迷わず見て見ぬ振りをするだろう。私にとっては学校生活を円滑にするだけの存在。学校という社会で独りぼっちは悪目立ちしやすいから、面倒から身を守るプロテクター、バリケード。どうせ高校卒業したらみんな疎遠になるんだしね。

私は、自分で言うのもなんだが、ドライだと思う。他人に関心がそこまでないんだ。人の話は聞くけれど、それで?と心の中では思う、そんなタイプの人間。ひねくれてることはわかってる。でもこれが私なりに学んで考えた賢い生き方。自分をわざわざ傷つけようとは思わないから。ドライ、言い換えれば臆病者。



4月28日 晴れ
今日は携帯を水没させた彼女は休みだ。風邪かな、でも私には関係ないし、迷惑だろうし連絡はいいかな、なんて思いながら席に座る。まだ移動時間なので人はあまり来ていない。別に今日くらい1人でもいいだろう。先生に軽く挨拶をしてから、予習をするわけでもなくノートを開き、書かれた自分の文字を目で追う。バラバラと教室に人が入ってくる。ああ、隣にあまり知らない人が座るのはめんどくさいな。そんなことを思いながら教科書を隣の机に広げて、テリトリーを敷く。みんな教科書を一瞥して、察し、思い思いの席に座る。
授業開始のベルが鳴る。私の席の隣は空いたままだ。自分の荷物を自由における机はありがたいので遠慮なく使う。先生方話し始める。いつもこの先生は導入のストーリーが面白い。先生の方を見ていると、とびらが開く音がした。パタパタと足音が近づいて来て、私の隣で止まった。
「隣座っていい?」
小さな声で訊かれる。正直躊躇ったが、チラッと見た感じだと空いている席は無い。相手の顔も見ずコクリと頷き、隣の机の上の私物を退ける。訊いてきた相手も特にこちらを見ることなく隣に座る。

 

その人は男の子だった。名前は知らない。髪型はみんなと同じ。特に特徴は覚えてない。強いて言うならほのかに良い匂いがした、ような気がする。